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2017年12月15日金曜日

腰痛と腹筋運動について

どうもこんにちは

本日ネットでこんな記事を見かけました

「腹筋運動」は腰痛の原因 バスケ協会「推奨できない」

要するに椎間板に軸圧(圧迫力)が掛かった状態で、腰椎を大きく動かすのはヘルニアや椎間板障害を引き起こす可能性があるのでやめましょうという記事です

今回槍玉に上がってるのは腹筋運動の中でも
いわゆる「シットアップ」と言われる上体を起こすことで腹筋を鍛える(と言われている)運動



私が中学生くらいの頃から
シットアップは腰痛の原因になるからあまりやらないように

とか

ほとんど腹筋に効かないなど

盛んに言われていた記憶があるので

なぜ今さらそんな記事が天下の朝日新聞デジタルに??
という感じなのですが


今回私がブログに書いてまで言いたかったのは
「シットアップはやっぱり良くない」ということでなく


腰痛全般にシットアップが良くないとも言い切れないよなー
ということです





日々多くの腰痛患者さんを施術する機会がありますし
トレーナーの現場でも腰痛を抱えている選手に遭遇しますが

スポーツをやっているやっていないに関わらず

腰痛の原因は大きく2つに分けられると思っていて
それを知っていただけたらその意図を理解していただけるかなと思いますので
それぞれ紹介したいと思います




・腰痛症の原因その1
「柔軟性:pliabilityの低下」

これは日々の接骨院での施術の中で最も遭遇する機会が多いのですが

ストレッチや日頃の運動不足により脊柱や股関節周囲を含めた全身の柔軟性が損なわれ、さらに日常生活や作業等での同姿勢の継続、同一の動作による繰り返しの負荷により関節が拘縮を起こしたり、筋腱などの軟部組織が血流障害を起こして痛みを発生するパターンです

これは単純に関節可動域や筋の伸張性が見るからに低下している(前屈で全然床に手が届かないなど)事が多いので、良く見かける一方でマッサージやストレッチングなどで比較的容易に改善する印象です

神経絞扼性の筋膜性腰痛や、坐骨神経痛はこちらに分類できます

「腰痛には腹筋」とよく言われますが
腰椎の安定性を高めるような腹筋や背筋のエクササイズ(プランク等)をどれだけ行っても、柔軟性や可動域は改善しないのでこう言ったタイプの腰痛では痛みが取れることがないでしょう

(運動することで血流が改善して多少は筋の柔軟性は改善することはあるでしょうが)



・その2
「安定性:stabilityの低下」

こちらは上記の柔軟性の低下と対をなしますが、見落とされがちな部分で

筋力の弱い女性や高齢者に多く見られるタイプです

単純に身体が柔らかいだけでは自身の身体(体重)を支えることができません

「身体は昔から柔らかい」「ストレッチは習慣的にやっている」という方でも
それだけでは
例えば普段行わない運動をしたり、重い荷物を持つ、長い距離を歩くなど
体力以上の負荷が加わった際には
安定した動きを行うことができず、関節や腱などに必要以上の負荷がかかることとなり痛みを発生することになります

出産後の仙腸関節不安定症や仙腸関節炎、腰椎分離辷り症などもこちらの範疇になるかと思います

こういうタイプの腰痛の方には、腰椎周囲の安定性を高めるために先ほどとは反対にプランク等の体幹を安定化させるエクササイズをおすすめしています

ストレッチングでいくら関節可動域を広げても、そもそも「身体が柔らかい」タイプの人が多いのであまり意味がありませんし、不安定性からくる過負荷で炎症を起こした関節や神経にさらなる負荷をかけることにも繋がる事があるため注意が必要です

実際、腰椎分離辷り症の方で一般的な腰痛体操を行ったところ痛みが増強するというのはよくある話です


このように
一概に「腰痛」と言っても原因は様々であり、もちろんこれらの原因が複雑に絡み合っている事もあります

そのためそれぞれの原因を明確に捉えて対応する事が重要です






そして
これらに合わせて総合的に重要なのが
「可動性:mobility」です

柔軟性と何が違うのかと思われる方もいると思いますが
可動性とは、自己の筋力と意思を持って身体を自在に動かせるかどうか、ということになります。
なので
柔軟性と安定性(筋力)の両方を兼ね備えている必要があります

さらに
単純に筋力と柔軟性を持ち合わせているだけではなく、必要な時に必要な形で、必要な分だけ力の出し入れができる事、身体操作性とも言い換える事ができます

例えば
野球のバッティングで腰を回転させなければいけない局面で、必要以上に力んでしまってはスムーズな腰の回転ができず良いスウィングはできませんし

コンタクトスポーツで相手とぶつかる際に腹筋に力が入っていなければ踏ん張ることができません


スポーツでは特に
力の出し入れをうまくコントロールする必要があります
相手とぶつかりながら、体幹を安定させつつ手先ではボールをコントロールする
なんていう時には、まさにこの身体操作性が重要です

これらの事を意識して行う事が、スポーツ障害や外傷予防にはとても重要で
ただ闇雲に筋力訓練のみを行っても全く意味がないんですよね



冒頭の記事の中に出てくるシットアップは、腰椎を後弯させる運動として紹介されています

(カールアップも腰椎の後弯を生む運動なのでそれを言ったら力の入れ方で十分腰痛の原因になるとは思うんですが、それはさておき)

シットアップが腰痛の原因になるわけでなく
腰椎の不安定性や椎間板や椎間関節の炎症がある状態で、腰椎を動かす事がいけないわけで


例えば
腰を折り曲げながら身体を起こすのではなく
体幹部は安定させた状態(腰椎を後弯させない、腰を丸くしない )で、股関節のみを屈曲する訓練としてシットアップを行えば

腰椎に負担はかからず、むしろ腰椎を安定させた状態で股関節を屈曲させる、連動という意味での可動性が高まり、むしろ腰痛予防の運動として利用する事ができます


大切なのはやり方と、その目的。


そもそも論として、なぜ腹筋を鍛えるのか。
腰椎の柔軟性を高めたいのか、体幹の安定性を高めたいのか
それとも綺麗なシックスパックを手に入れたいのか。


「腹筋運動が腰痛の原因に!」という見出しは非常にキャッチーですが、身体を鍛える手段としての筋力訓練ですから

目的を明確にして正しい選択の上で、正しい指導の元で行ってもらえれば、悪にはならないのになと思います



まとまりの悪い記事になってしまったので



まとめ!


・腰痛の原因は大きく「柔軟性の低下」と「安定性の低下」
・この2つうまく組み合わせて使える事が「可動性」を生む
・力の出し入れ、身体操作性を意識する事がスポーツ障害の予防に重要
・シットアップはやり方次第で腰椎には負荷はかからない、むしろ腰痛予防になる




という事で

希望ヶ丘接骨院では腰痛に対して一人一人に合わせた施術を提案しており、運動プログラムの作成も行っています


腰痛にお困りの方はお気軽にご相談ください☆


…それでは!



おまけ
トレーニング指導をしている名古屋高校ラグビー部の学生から誕生日プレゼントでスポーツウェアをいただきました
ありがたいです



来年は花園出場の切符をリクエストします




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