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2019年8月12日月曜日

骨髄提供した話②(事前検査編)

どうもこんにちは

前回は登録から適合通知までのお話を書きました
骨髄提供した話①

今回は事前検査について書きたいと思います

適合通知には他にも数枚用紙が同封されていて
その中には「提供意思確認書」と健康状態を確認する「問診票」が含まれ
この時点でもしも提供に同意できない場合でも提供意思確認書に「提供不可」の旨を記入して出来るだけ早く返信する必要があります

到着から7日以内に返信するようにとの記載がありますが、提供ができなければ新しいドナー候補を探す必要があるので出来るだけ早く返信するべきだと思います


問診票はドナーとなることができるかどうかの健康状態をチェックするためのもので、体重や身長などの基本的な健康状態のチェックから海外渡航歴の確認、喘息や過去の感染症の既往なども含めそれなりに詳しく記入します



この問診票と確認書を返送してからおよそ2週後に医師を同席しての事前説明と事前検査がありそこでは移植手術についての詳しい説明と医師による問診と血液検査を受けます

日本の骨髄バンクでは提供者の健康状態や体格などを考慮して提供の可否だけでなく採取する骨髄の量もかなり厳格に規定されているとのことでした

そこから2週ほどで血液検査や問診などの結果が通知され、さらにその結果を考慮して2ヶ月以内に最初5−10人いたドナー候補者の中から最終的なドナーが一人選定されます

自分以外に何人のドナー候補者がいるのか、どのような患者さんに対しての提供であるのかは教えてもらうことはできません
(のちの最終同意後に大まかな患者情報を教えてもらうことができます)

ドナーに選定されたかどうかはコーディネーターからの電話と郵送で通知が届き、そこから3ヶ月以内に最終同意面談

最終同意後はドナー側の事情で提供を辞退することはできません




その後1ヶ月以内に採取施設でのさらに詳しい健康診断
術前2週前までに貯血のための自己血採取

となります


ここまで整理すると
1:確認検査
2:最終同意面談
3:健康診断
4:自己血採取(必要な場合は2回)

この4回は提供の入院までに病院に足を運ぶ必要があり
適合通知から提供手術まではおよそ6ヶ月ほどの道のりになります

自分は骨髄の型が一致してドナーになる意思さえあればもっと簡単に提供になるかと思っていたので、予想以上に慎重にことが進められて少し戸惑いましたが
ドナー登録を考えている方は、ここまで慎重にドナー選定が行われているということを知っていただけるといいなと思います





今回の移植に際して特に感じたのは、骨髄バンクが患者さんだけでなくドナーならびにドナー候補の安全を守ることを最優先に物事を進めているなという点でした
今まで日本では骨髄バンクを通じての非血縁間移植で死亡事故は1件もおきておらず、このような厳格なチェックをクリアした人だけがドナーになることができるような仕組みになっているからこそだろうと思います




骨髄バンクの担当者の方曰く私の場合は事情により4ヶ月というかなり異例のスピードでことが進んだため正直言ってあっという間に提供まで済んだ印象がありますが、とはいえとにかくドナーの安全を最優先に慎重に事が運ばれます
事前検査も血液検査だけでなく胸部のレントゲンや心電図などかなり詳しく行われるため下手な健康診断よりもずっと安心感があります




再び書きますが
入院までに最低4回検査や面談に足を運ぶ必要がありますが
その手間を除けば
提供自体は思ったより大したことありません

数日で普通の生活に戻れます。




悩んでいる人は骨髄バンクに登録しましょう
でも悩みもせずに登録するのはやめましょう


次回「手術からその後編」に続きます


それでは!

骨髄提供した話①(骨髄バンク登録から適合通知まで編)

どうもこんにちは


実は先日
骨髄バンクを通じて骨髄提供をしました


接骨院のブログでこんなことを書くのもどうかなとは思ったのですが
少しでも多くの方とこの経験を共有することで
骨髄バンクに登録しようかどうか悩んでいる人や適合通知が来たけどちょっとビビってしまっている人の背中を押すことができて、骨髄提供を待っている病気で苦しんでいる人やそのご家族皆さんの役に立てたらいいなと思い書くことにしました

興味の無い方はスルーしてください



私が骨髄バンク登録を考えたのは今から10年以上前、身近な人が血液の病気にかかり苦しんでいるのにも関わらず何もしてあげることのできないもどかしさを感じ
骨髄バンクに登録すれば病気で苦しんでいる誰かの役に立てるかもと思ったことがきっかけでした

こうやって書くと、少し偽善ぽく聞こえるかもしれませんが当時から本当にそう思っていました。

それから何年か経ち、その病気で苦しんだ『身近な人』は自分の妻となり子供も生まれすっかり元気になり、治療をずっと担当してくださった医師の先生や応援してくれた周りの方の善意に対する恩返しを、何もできない自分がペイフォワードの精神で誰かにつなぎたいという思いはますます強くなりました

ちなみに名古屋では市内の各献血センターで骨髄バンクのドナー登録を行うことができます
http://www.city.nagoya.jp/kenkofukushi/page/0000008571.html

『登録のしおり(チャンス)』をよく読んだ上で登録申込書を記入し、簡単な採血と共に提出したら登録完了になります
とても簡単な手続きです


登録してから2年間は登録していることを忘れないくらいの頻度でバンクからお知らせの手紙が届くくらいで、のほほんと過ごしていました

ちなみに骨髄バンクの公式HPによると患者さんとの適合通知が届くのはドナー登録をしている人のうち30パーセントほど、最終的に提供までに至るのは全体の2パーセントほどで

年間に1600件ほどの移植手術が骨髄バンクを通じて行われているそうです


30パーセントと言う割に適合通知はこないもんだなと思ってはいたのですが
ある日見慣れない封筒が自宅に届き、いつものお知らせ封筒とは明らかに違った色(オレンジ色)の封筒に大きく「骨髄バンク」の文字。
ついにこの日が来たかと開けてみると、やはり「適合通知」でした

最初の中身がどんなものだったか詳しくは忘れてしまいましたが
確かドナーのためのハンドブックと健康状態を記入するアンケートのようなものが入っていたような気がします

その後骨髄バンクの担当コーディネーターと事前検査のための病院が決定しましたとの連絡がありました

一般的に患者さんが骨髄提供を希望し骨髄バンクに適合する相手がいないかどうかの検索を依頼すると、5−10人ほどの適合者が見つかりその中から事前検査や健康状態などを考慮して最終的に一人のドナーが決定するとのことでした


少し前に有名な水泳選手が白血病を患っていることを公表したことで、一時的に大幅に骨髄バンクのドナー登録者が増えたそうです
それだけであればとても喜ばしいことですが

一方で安易にあまりよく考えずに登録をして、いざ適合通知が届いたら怖くなってすぐに辞退するというケースが相次いだと言うことを聞きました

現在の骨髄バンクのシステムでは同時に多くのドナー候補者の選定作業を進めることができないため辞退されてから次の候補者選び、その間患者さんは治療が中断するというのを繰り返す事になってしまいます

自分には移植を待つ患者さんの立場になって考えることは非常に難しいことです
骨髄バンクの登録者が増えることで適合する可能性が増し希望や勇気を得られるかもしれませんが、安易な登録者が増えることで辞退率が上がりぬか喜びが増えれば逆に希望を失ってしまうかもしれません



登録するなとは言えませんが
命綱を崖から降ろすつもりで
もしかしたら誰も必要としない命綱かもしれなくても、その命綱をもし誰かが掴んだら決して簡単には離さないという覚悟を持って
真剣に登録してほしいなと思います




長文乱文をここまで読んでくださってありがとうございました
事前検査以降についてはまた次回以降に書かせていただきます



ひとまずこれだけ書いておきます
提供自体は思ったより大したことありません

数日で普通の生活に戻れます。



悩んでいる人は骨髄バンクに登録しましょう
でも悩みもせずに登録するのはやめましょう


次回「事前検査編」に続きます


それでは!