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2017年3月14日火曜日

気道確保

どうもこんにちは

最近めっきりブログの更新頻度が落ちていてますが
おかげさまで元気にやっています

時間を作ってこまめに更新していかないといけませんね


さて先日こんなニュースがありました

「サッカーの試合中に味方同士の接触により意識を失った選手に、相手チームの選手が駆け寄り舌を引き出して気道確保をした」

というもので
直前に差別発言を受けていたにもかかわらず、ためらうことなく人命を救う行動を起こしたことが賞賛されています


スポーツの現場に立つ身として人ごとではないので確認してみたところ

「命を救うための行動」としてはとても素晴らしいものであるのは間違いないものの
動画を見ると少し怖さも感じました

それは
意識を失った選手はかなりの勢いで味方選手と接触しており、頚椎を損傷している可能性を否定できないからです

頚椎の中には「頸髄」という大切な神経が通っており、頚椎を損傷していた場合には状況によっては首を動かすことで命を危険に晒す可能性があります

ラグビーやサッカーなどでの相手選手との接触や、スキーやスノーボード等での転倒、高所からの落下などで意識を消失した場合はまず「頚椎の固定」が最優先とされており
その上で呼吸を確認し、必要であれば気道の確保や口腔内の異物の除去を行うことになります

繰り返しになりますが、損傷した頚椎を不用意に動かすことは死につながるからです

映像では即座に口の中に手を入れ、身体を横向きに倒していますが
もしも頚椎損傷があったら…
その行動が必ずしも正解だったとは言えません



もちろん行動を起こしたことは悪いことではありません
しかしこの処置をとったのが医療関係者であったら、軽率と言われてしまうでしょう


特にラグビーの現場ではこのような不測の事態が起こる可能性が他の競技に比べて格段い高いのが現実です

現在
ラグビーの試合会場には「セーフティアシスタント」と呼ばれる医務心得者が必要なことになっていますが
実はこの資格、非常に簡単な講習で認定を受けることが可能です

そのため残念ながら単にセーフティアシスタントとして認定を受けただけでこういった事態に正しく対応できるのか甚だ疑問です

ラグビーというスポーツを世間に根付かせるためは本来であればしっかりと教育を受けた医療関係者を必ず試合会場に配備するなり、安全講習をもっと頻繁に継続的に行うなりすべきだたとは思いますが
今は制度についてあれこれ言っても仕方ないので…


兎にも角にも
意識消失が見られたら、まずは頚椎の固定です。
そして頚椎損傷の可能性があればそのまますぐに救急車を呼びましょう



「不測の事態はいつか必ず起こるもの」と心に留め
正しい判断の上で適切な処置を行うことができるように少しでも知識をもち、常に準備をしておけるといいですね





…それでは!




ちなみに
頚椎損傷が否定される場合「舌を引っ張り出す」という方法ではなく、頭部後屈顎先挙上法で気道を確保するのが一般的です

救命訓練などで行われるアレです
(画像は日本赤十字社HPより)







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