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2015年1月23日金曜日

少しでも参考になれば

どうもこんにちは

今日はちょっと長文です


そしてとりとめのないことを書きます



少し前に、フィギュアスケートの羽生選手が競技直前の練習で怪我をして、
その怪我を押して競技を続行したことに対していろいろな議論がなされました

その後競技を続行するべきか否かの現場の判断について、私がどうこう言うつもりはありませんが

あれ以降「脳震盪」という言葉と、その怖さや対応の重要性に対して、スポーツに関わる人のみでなく多くの一般の方も興味を持たれたのではないかと思います

自分自身ラグビーを長くプレーしてきたことと、医療現場でお仕事をしてきた経緯から脳震盪だけでなく多くの怪我を目の当たりにしてきました

その上で、脳震盪に対する私の考えについて少し書き起こしておきたいと思います

まず脳震盪とは…
「頭部への直接、間接 的な衝撃により引き起こされた脳の機能障害である。様々な非特異的症候(下記のような)を示し、意識消失を必ずしも含まない。以下のうち一つ以上が存在すれば脳震盪を疑うべきである
・自覚症状(例えば頭痛)もしくは
・全身的な徴候(例えば不安定感)もしくは
・脳機能の障害(例えば混乱)もしくは
・行動の異常」

と脳震盪対応のガイドライン*SCAT2に表記されています
*この「SCAT2」はスポーツに携わる人は必ず目を通しておくべきです

そのうえで、「脳震盪が疑われる場合は競技を中断し、医学的な評価を受けるべきであり、またその後の変化を観察し続ける必要がある。また脳震盪が疑われる選手は自動車を運転すべきではない」ともしています

ここで重要なのは、脳震盪は必ずしも意識消失を含まないという点です。
さらに、頭部になんらかの衝撃を受けて、なんらかの症状を呈した場合は、いくら本人が競技続行を望んだとしても医療スタッフのみならず、チームスタッフ、チームメイト、保護者などが競技の中止を宣告し説得する必要があります

なぜなら、脳震盪はそのプレーヤーの生命を脅かす可能性のある怪我だからです

たとえその時症状がすぐに消失して(したように見えて)も、もしも直後にもう一度同じ衝撃を頭部に受けた場合は致死率が跳ね上がると言われています

ですから、脳震盪は極めて慎重に扱われなければなりません



困るのはこんな時でしょう

例えば何かのスポーツの部活動の試合で、ある選手が転倒し頭をぶつけたとします
その選手は一瞬気を失ったように見えましたが、すぐに立ち上がり競技を続行しようとしました

そこに、SCAT2を知っていて、脳震盪についての知識のあるあなたが遭遇した場合、強く競技の続行を望んでいる選手を目の前にして中止を宣告することはできますか?

泣きながら、『この試合で負けたら引退なんです!』『この試合に進学と人生がかかってるんです!』と懇願されたら …?

そこで競技の中止を宣告するということはとてつもなく大きな責任です

冒頭に書いた羽生選手の場合がどうであったかはわかりません(そもそも脳震盪を疑う兆候があったのかもわかりませんし)が、このような状況になった場合

その判断は簡単なことではありません

大人の事情も絡んでくるでしょうし

誰も責任を負いたくはありませんから

ラグビーの場合、協会のガイドラインにはっきりと、脳震盪の疑いのある場合は競技を続行してはならないと明記されています

その為、どれだけプレーヤーが続行を希望したとしても、ルールとして競技を続行することはできません

プレーヤーの命を守るためにはコンタクトスポーツの場合、これはさほど大げさなことではないように思えます

でも、コンタクトスポーツではない場合、さすがにここまでやるのはやりすぎなんじゃないかという意見も当然あります

コンタクトスポーツならまだしも、普通になにかスポーツをしていてそう何度も頭をぶつける可能性はとても低いですからね

しかしやはり命を落としてからでは遅いため、スポーツ界全体で脳震盪に関するなんらかのルール決めは必要だという動きが起こっているのが現状です


個人的な意見として、理想を言えば
試合以前の段階でスポーツをするということは常に怪我のリスクがあるということをプレーヤー、保護者、指導者すべてが理解し、教育することが何より大切だと思います

命の危険がある怪我をすれば、どんな理由があれプレーを続行することは不可能だと教育する

まぁあくまで理想論ですが



とにかく、コンタクトスポーツでなくてもサッカーでも相手と交錯したり、ダンスや、例えばフィギュアスケートでも今回のように転倒して頭をぶつけることもありますし、水泳の飛び込みで頭部外傷を負うことがあります

つまり『もし脳震盪が疑われる症状があったらどんな場合でもプレーは続けられないよ』と普段からきちんと説明しておく

これだけでいざ試合の時に脳震盪が起きた場合に判断を下すことがとても簡単になりますし、選手も受け入れやすくなると思うんですよね


特に部活などの、自己での判断が難しい年代のスポーツは周りの人間が責任を持ってこの問題に取り組まなければいけません



しかし、しかし
例えばボクシングなどの格闘技の場合は?

以前あるところで読んだ記事で、「脳震盪を2度続けて起こすと致死率が50%になる」と書かれているものがありました

おそらく「致死率が50%上がる」の間違いだとは思いますが(2回の脳震盪で50%の人が死んだら、一試合で2回ダウンしたボクサーの半分が死んでることになる)

これはダウンしても立ち上がって戦う競技の特性上、一度のダウン(脳震盪を含まない場合もあるでしょうが)で試合を止めるわけにはいかないですから

この線引きは非常に難しいところです


…結局この問題に答えはないのかもしれません


ただとにかく、スポーツと怪我は切っても切れない関係にあること。
スポーツをするというのは、もしくはスポーツや怪我に関わる仕事をしているということは、常にそういった難しい判断を下さなければいけない状況に立たされる可能性があるということをいつも時自覚していなければいけないですし、特に子供たちになんらかの指導をしている大人は知っておいて欲しいですね






ということで、自分に言い聞かせる記事でした。

本当にとりとめのない話ですみません










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