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2015年1月23日金曜日

腰痛にアイシング?

こんにちは


よく患者さんから、「痛いときは温めるのと冷やすのどっちがいいの?」と聞かれます

これは非常に難しい問題です


一般的に、急性期(ケガをした直後など)にはアイシング
慢性痛(肩こりや慢性腰痛)には温熱

と答えるのが簡単なんですが



アイシングの生理作用について考えてみると、考えさせられる部分がたくさんあります



ここでアイシングについて再考してみます

まずアイシングの一番大きな効果は細胞組織を冷却することで、血管を収縮させて血流量を低下させる、という点です

例えば打撲やねん挫により筋肉や靭帯が損傷した際、そこからは当然内出血が起こります

その出血は炎症反応を惹起し組織の修復を促すわけですが、あまり多すぎるとそのケガをした周囲にある傷んでいない組織を圧迫してしまったり、周囲への血流が相対的に減少し栄養供給が閉ざされてしまう為、ケガが治るのを遅らせてしまいます

ですから、アイシングによって内出血の量をコントロールしてあげる必要があるのです

残念ながらアイシングに一度起きてしまった内出血をひかせる効果はないとされていますが、冷却することによって腫脹が必要以上に起こることはある程度抑制できます

さらに、もう一つアイシングで期待できる効果に神経に対する作用があります

痛みというのは損傷した組織で発生し、それが神経によって伝達されて脳に届きます

その痛みの刺激が脳に届くことによって、損傷した組織を治さなければいけないと判断した体は組織を修復するためにさらに炎症を引き起こしたり、関節の怪我であれば関節の拘縮の原因になってしまったり、リハビリの妨げになったりと良いことはありません

アイシングはこの痛みを感じる神経の伝達をブロックしてくれる効果があります

脳に痛みの情報を必要以上に伝えないことで、必要以上に痛みに対する反応が続くことを抑制してくれるわけですね

さて、ここで表題の腰痛に対するアイシングの作用ですが

腰痛はほとんどが急性期の怪我ではありません、熱感や腫脹があることもほとんどありません

しかし私は腰痛にもアイシングを使うことが多くあります
詳しい生理作用であるとか、エビデンスがはっきりしているわけではありませんが、いわゆる慢性腰痛に近いような痛みに対しても、アイシングが絶大な効果を発揮することがあるからです


まず第一に、先ほどお話しした痛みを感じにくくしてくれる作用が働いているのだろうと思われるのですが、この「痛み」の感覚を抑えることで2次的に痛みによって起きた筋緊張も低下し、腰痛にいい効果があるのではないかと考えています

さらに疲労性の痛みに対しても、冷却によって起こる虚血後の再環流が疲労の回復に良い作用があるだろうと思います

まぁ経験 的な話のみで何の確証もないわけですが、実際に多くの患者様が温めるよりも冷やした時の方が施術後に痛みが軽減したとおっしゃってくれているので、効果があるのは間違いないと思うんです

最近はスポーツ後にアイスバスなどを行って疲労抜きを行うことも一般的になってきましたし、アイシングの効果は見直されていると思います



しかしアイシングに対して否定的な意見もあります
本来ケガをした際に起こる正常な反応である炎症を冷却することで抑制してしまったら、治ることまで抑制してしまう、という考え方です


これに賛同している方も多く
ケガに対して全くアイシングをしないというセラピストもいます

確かに一理あるな、と思う部分もありますが
私はやはり、腫脹が強くなりすぎることで周囲の組織が圧迫されるというのは組織修復の面でも良いことはありませんし、そもそも痛みが強い状態を放置することは得策ではないと思います


なんだかまとまりのない文章になってしまいましたが

とにかく、状況判断をしながら上手に冷却と温熱を使い分けてくべきでしょう

今後もある意味では試行錯誤をしながら、患者さんひとりひとりにあったベストな施術を選択しつつ日々診療ができたらなと思います







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