今日は症例シリーズです
本日来院された患者さん
受診時の状況
『半年前から五十肩で整形外科にてリハビリを続けていたが、3日前に自動ドアに肩からぶつかり痛みが少し増強
心配だったので整形外科を受診したところ湿布を処方された
ところが湿布を貼って3日目の朝(本日)、右肩から腕にかけて痛みが急に強くなり湿布を貼ってあるところを見たところひどくかぶれて湿疹ができている
じっとしていてもビリビリと痛む、時々電気が走るように痛み、腕まで痺れが走る
発疹部を触れるとピリピリと痛む
肩関節の動き自体はさほど制限されていない』
さてここまで紹介すると、知識のある方はなんとなく察しがつくかもしれません
この方の病気は『帯状疱疹』
当院では湿布のノリを拭き取り皮膚を消毒して、皮膚科のクリニックへすぐに行っていただきました
帯状疱疹とは
体内に潜んでいる水疱帯状疱疹ウィルス(以下VZV:ヘルペスウィルスの一種)がなんらかの原因で活性化してしまい、皮膚に強い痛みを伴った発疹(水ぶくれ)が出現する病気です
VZVは初感染では水疱瘡になりますが、その後症状が治まっても1度感染するとウィルスは神経を伝わって知覚神経の神経節に潜り込み、遺伝子の形で潜伏します
それがストレスや疲労、過労、加齢、免疫不全疾患などで免疫力が低下した際に再活性化し悪さをします
水疱瘡のウィルスによる病気とは言っても、人にうつることはありません
ただし水疱瘡にかかったことのない人が帯状疱疹に触れると手を介して気道粘膜に感染したりすることもあるそうなので注意が必要です
帯状疱疹の症状で最も辛いのは何より痛みです
神経内で悪さをするため、神経痛を引き起こします
さらに治療が遅れると発症した部位により合併症を引き起こす可能性があります
例えば耳周囲に発症すれば難聴や顔面神経麻痺、腹部に発症すると便秘、陰部に発症すると尿閉、などといったことが見られることがあります
きちんと治療すれば予後は良好とされていますが
ヘルペスの抗ウィルス薬はウィルスを殺す薬でなく増殖で抑える薬なので、ウィルスが増殖する前にできるだけ早く投薬を開始することが重要で
「発疹が出た」「水ぶくれになった」という段階で投薬できることが肝心です
しかし初発症状は神経痛として始まることが多いため見逃されやすく、とりあえず湿布を貼って様子を見ていると、湿布かぶれと錯覚してしまい放置されることがよく起こります
原因のよく分からない痛みに対して安易に湿布でごまかそうとすると、そのようなリスクがあるので気を付けましょう
治療はさきほどから紹介している通り抗ウィルス薬の投与であり
内服、点滴、塗り薬があります
重ね重ねになりますが、とにかく早く薬を開始することが重要です
もしかして…
と不安になった方はすぐに皮膚科を受診してください!
…それでは!
おまけ
「治療家がなんの知識もなく運動指導をするな」
という批判はもっともで、だからこそ医学的な勉強も運動学やSC分野の勉強もしっかりとしようと思う今日この頃。
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