福岡の道路陥没事故は、驚くほどの短い期間で復旧が終わり世界を驚かせましたね
治療家の仕事は身体を復旧させること
ということで
今回は覚書の意味も込めて、怪我の治癒過程について書いていきます
人間の皮膚や腱、骨や靭帯など「結合組織」と呼ばれる組織の損傷は、いずれの場合であっても修復過程はおおよそ同じような経過をたどります
そのため、例えば骨折でも靭帯損傷でもアキレス腱断裂でも、もっと言えば皮膚の切り傷でも受傷からどのくらいの期間が経過しているかによって、対応はおおよそ同じになります
(断端がきちんと合わさっていることが前提)
ということで
一般的な怪我の治療アウトラインを書き起こすと
受傷から
・2〜3日:急性炎症期
→固定や圧迫、アイシングなどで必要以上の炎症反応や腫脹の増悪を防ぐ
→疼痛の管理
・1〜3週間:線維芽細胞の浸潤並びに血管新生期(膠原線維が満たされてゆく)
→固定の継続、超音波などの物理療法で細胞の活性化を図る
→患部の安定を損ねない範囲の運動療法で過度の筋萎縮等を予防
・3〜4週間:線維芽細胞の減少、膠原線維が長軸方向に安定、成熟期
→運動療法と可動域訓練を順次開始し癒着を予防、再生線維の配列の均一化を図る
・6週間:概ね修復
→筋力強化訓練や可動域訓練の漸増
→その後数ヶ月から数年をかけて膠原線維密度や配列などの再構築がなされていく
もちろん損傷範囲の大きさや痛みの程度、部位、ファーストエイドの良し悪し、年齢による治癒能力などによって差異はあるものの
結合組織の修復過程の基本は概ねこんな感じです
超音波や酸素カプセルなどはこの修復期間を短縮させる効果がありますが、残念ながら劇的な短縮とは言えません
あくまで治癒スピードを高める補助的な役割にすぎません
この基本的な治癒過程を無視して早期から損傷部位を動かしたり、過度なリハビリを行ったりすれば痛みを長引かせるだけでなくきちんと組織が再生しない可能性があります
一方で、タイミングを逃して長期に固定しすぎたりすれば癒着が起こって必要以上の可動域制限が残ることもあります
ですので、こう言った基礎知識を踏まえた上で段階的にアプローチしていくことは非常に大切です
巷に溢れる怪しい話に流されず、これからもきちんとした治療を心がけていきたいものです
…それでは!
おまけ
そう言えば
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